021127, 021129, 030117 灰羽連盟

内容に言及している部分があります。まだ見ていない方はご注意下さい。

030117去年のクリスマスごろに、全てのお話が終わりました。021119以前に書かれて
いることは見てる途中で書いたものです。

この話の本当の主人公はレキではなかったかと、前編を見終わってから思った。
なぜなら、最も救いが必要だったのは、レキだったからだ。レキはラッカを陰
に日向に見守っていた。そんな彼女に残された時間はわずかだった。それに気づい
ているのに、自分のつらさを誰にも打ち明けることもできず、一人思い悩むレ
キ。最後の最後に救済された彼女の悩みは非常にミニマムだ。強い人間であれ
ば、なぜそんなことをくよくよ悩んでいるのかわからないだろう。強そうに見
える、周囲から強いと思われている人ほど、本当は救いを求めているのかもし
れない。そんな強く、そしてとても脆い彼女に、強い引力を感じた。
我々の住むこの世界には街を囲む壁など無い。だけど、狭い人間関係の中での閉
塞感は街の壁のようなものだろう。我々は、自らをこのしがらみから解き放ち、
この心の壁を飛び越えなければ前進できないのかもしれない。逆に、そうするこ
とができたときこそ、新しい世界に旅立つことができるのだ。

最後の、レキが心の内にあるものをはき出し、ラッカを強く拒絶するところは何
度見ても見飽きない。特に、小さなレキと対話している彼女のセリフに強く共感
する。なぜ我々は本当に必要なときに、うまく助を求めることができないのだろ
うか。
***

世界のはじまりは、世界の終わりとは関係なかったです。でも、と
てもかわいくて、なんだか涙が出るようなお話でした。今日の夜は
2話放送。ちゃんと録画できるといいのだけど。                 >ちゃんと録画できました。

次回のキーワードは第8話 鳥/第9話 井戸・再生・謎掛け。
何だろう、この感じ。ねじでも巻くのかなぁ、鳥は。関係ないとは
思うけど。シンクロしてる感じがするなぁ。


***

021119 灰羽連盟

今は第4話まで放送されました。第2話を見逃したのが惜しい。う
ちのビデオデッキ、テープが本当の最初まで巻き戻っていると誤動
作で予約での録画が動作しないんです。で、取り損ねたわけです。
残念賞。

しかし、少しづつ世界観が明かされてきました。メインとなるキャ
ラクターは背中に羽を持ち、頭上に光輪を頂く灰羽達。でも、天使
ではないようです。初回のオープニング付近を見逃したのですが、
壁に周りを取り囲まれた街に灰羽たちは住みます。壁を超える物は、
ごく限られた人たちだけのようです。街の人も壁の外に出ることは
許されず、一度出たら戻れない。しかし、鳥は壁を超えて行き来す
ることができる。鳥は忘れ物を運ぶと、言い伝えは教えてくれた。

なんだか、村上春樹著「世界の終わりとハードボイルドワンダーラ
ンド」を思い出しました。世界の終わりでは街に住む人は心を持た
ない。心は、街の周りに住む獣がため込んで、冬に死んでいく。そ
うやって街は変化せずに永遠の世界の終わりを継続する。

灰羽は繭から生まれ、それまでの記憶を失っている。灰羽の主人公
ラッカは言葉や自転車の乗り方を覚えているのに、歌が思い出せな
い。世界の終わりでも「僕」は目覚めたときには記憶を失い、心に
相当する「影」を体から引きはがされた。歌を思い出すことは物語
の重要なモチーフになっている。

灰羽は各回のタイトルはキーワードで示されている。第5話のキー
ワードに含まれている「世界のはじまり」は、私の中では村上の「世
界の終わり」とどうしても結びついてしまう。

灰羽は幼い子供達と、それよりも上の年齢に分けられている。子供
達には男の子がいるのに、年長側には男の子がいない。もちろん、
性別があればの話だけど。そして、年長側には中年以上の灰羽はま
だ出てきていない。これは何を意味するのだろう。

どこか弱い感じのする主人公ラッカ、しかし、例えば壁の外の世界
に興味を持ったり、自分の過去の記憶を取り戻そうとしたり、この
世界の現在の秩序を破壊するはずなのもラッカ。この弱々しげでま
じめそうなラッカが、どうやってこの世界を新しい秩序に導くのか
を見ていきたいと思っています。

ところで、灰羽はアニメーションの質も高くて、見ていてほっとす
る。優しい音楽、パステルトーンの色遣い(もちろんいつもではな
い。作品世界には静かにほの暗いものが漂っているように感じられ
る)。よかったら一度見て欲しいです。関東地区では水曜の深夜2:28
から(つまり木曜の午前2:28 ビデオの設定は木曜日で)の放送で、
再来週あたりから二話ずつ放送する模様です。詳しくはフジテレビ
のウェブページなどで確認してみてください。

それから、村上春樹は「ノルウェイの森」が有名ですが、「世界の
終わり...」をふくめた、現実にはあり得ないような設定の小説もす
ばらしいです。お腹が空いたり、ビールが飲みたくなったりするの
が問題でしょうか。「世界の終わり...」はそんな小説の中でも二つ
のお話が同時進行する、スピード感のある作品です。こちらもよろ
しければどうぞ。

余談ですが、僕が通っていた高校は村上春樹が通っていた高校のよ
うです。「ノルウェイの森」や「風の歌を聴け」を初めとする初期の作品た
ちの舞台は、自らの生活圏内にあった場所が多数含まれているので、
ただ小説を読むのとは違ってしまいますね。どうしても。

灰羽連盟各回キーワード
「第1話 繭・空を落ちる夢・オールドホーム」
「第2話 街と壁・トーガ・灰羽連盟」
「第3話 寺院・話師・パンケーキ」
「第4話 ゴミの日・時計塔・壁を越える鳥」
「第5話 図書館・廃工場・世界のはじまり」


関連ページ
灰羽連盟 (公式ページ)
灰羽連盟 (フジテレビション)
村上春樹 (amazon.co.jp)
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